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貴方の絵が乗っ取られる:ニコニコ動画「クリエイター奨励プログラム」でニコニ・コモンズが無法地帯に

かなり長い記事となるので、簡単に理解したい方はまずこちらの6分の動画を見るとより理解しやすいと思われます。

【改訂版】クリエイター奨励プログラムの問題点【ニコニコ動画】

前回の記事:「ゆっくり」のイラストがニコニ・コモンズに営利利用可として無断登録

イントロダクション:28万の報酬がドワンゴから貰える!?

すでに報酬ポイントの分配が始まっているニコニコ動画「クリエイター奨励プログラム」。ニコニコ大百科の書き込みによると、28万円相当の現金化可能なポイントを手にした者もいるようだ。

3,353~2,797,627点になってて扶養範囲超えたらどうしようっていう逆の不安に襲われてたが

結局282,885で確定! それでもぱねえwwwものすごい臨時収入になりそうだ…

実は、この制度には大きな危険が潜んでおり、それはすでに実態を現しつつある。

1.背景知識

A.クリエイター奨励プログラム・ニコニ・コモンズとは?

2つとも創作を支援するためのシステムである。

クリエイター奨励プログラムとは、人気を博した動画の製作者に対して、ニコニコポイントまたは現金で奨励金を支払うもの。ニコニコ動画のプレミアム料金を原資として、ドワンゴが創作者に対して利益を還元する。

ニコニコ動画で「クリエイター奨励プログラム」開始、二次創作の親にも還元 — Engadget Japanese

ニコニ・コモンズはドワンゴの制定した著作物の利用ルールであり、それに従う素材を登録し管理するウェブサイト。登録した者は素材の利用範囲・営利利用の可否などを設定できる。

素材を使いたいクリエーターにとっては、「利用ルールが明確な素材が簡単に手に入る」というのがメリット

ASCII.jp:ニコ動の「ニコニ・コモンズ」とは何か?

もしある動画に使われた素材がニコニ・コモンズに登録されていて、その素材の登録者がクリエイター奨励プログラムに参加していれば、素材の登録者はその動画に貢献した度合いに応じて報酬を受け取れる。

B.何が問題?

ユーザに創作の場を提供する事で利益を受けているニコニコ動画・ドワンゴが、創作者に利益を還元するという趣旨そのものは善いものに見える。しかし前回の記事で述べたように、クリエイター奨励プログラムの問題とは、「無断転載されたコンテンツからあたかも転載した人物がそのコンテンツの権利者であるかのように収益を得る可能性がある」ことである。無断転載したものによる権利の乗っ取りと言える。

C.単純な無断転載より深刻

今までも行われてきたニコニコへのコンテンツの無断転載は、それだけでは無断転載者に金銭的な利益が発生しない。これはニコニコ動画で著作権的にグレーゾーンな創作が多少黙認されてきた理由の一つであろう。しかし今回は、コンテンツをニコニ・コモンズに無断転載した者がクリエイター奨励プログラムに参加していれば、直接ドワンゴから金銭を受け取れてしまうのである。金銭を得ることを目的にした無断転載が横行する可能性が高い。

・Youtubeで逮捕例も

実際、Youtubeで週刊少年ジャンプのネタバレを行なってアフィリエイトで収入を得た中学生が逮捕されている。収益は30万円以上との見方もある。Youtubeと同様にニコニコ生放送等で犯罪が行われているケースのあるニコニコ動画で同じことが起こらない保証は無い。

ニュース30over : YouTubeに発売前の漫画を違法配信していた中学生 アフィで毎月30万円の収入があったことが判明! - ライブドアブログ

D.性善説に基づく制度

ニコニ・コモンズについてはアスキーの記事も2008年の時点で既に問題点を指摘している。これに金銭の供与が伴うとなると、ドワンゴは企業としては余りにも脇が甘いと言わざるを得ない。

不正投稿にはどう対応する?

ニコニ・コモンズにはさまざまな可能性があるとはいえ、ニコニコ動画でMAD人気が続くからには、著作権を持っていない第三者が、アニメやゲームの一部を素材としてニコニ・コモンズに不正投稿する可能性もある。また素材を使った側がコモンズIDを「自己申告」しなかったらどうなるのか、その辺りの対策はあまり詳しく解説されていない。

基本的には、ネットのクリエーターを「空気を読める大人」だと信頼し、運営していくことになるのだろうか。

ASCII.jp:ニコ動の「ニコニ・コモンズ」とは何か?

E.ニコニ・コモンズ単体の問題(2011/1/16追記)

ニコニ・コモンズに無断転載したものがクリエイター奨励プログラムに参加していない場合は、直接は無断転載者への金銭の供与はない。それでも登録者は素材を登録する時点で利用可能範囲と営利利用の可否を決められる。無断転載だった場合、権利の侵害はここでも行われる。例えドワンゴ運営が著作権侵害を理由に報酬の分配を却下したとしても、無断転載者が本来権利者が行うべき利用範囲の指定を不当に行ったという事実は残る。

2.もはや無法地帯:具体例が続々

すでにニコニ・コモンズには大量の無断転載が行われており、明らかに利益を得ることを目的としているであろうケースまである。この章では3つのケースを取り上げるが、より詳しくは下記リンクをご覧頂きたい。有名人の肖像権を侵害するもの等も登録されている。

ニコニコ動画クリエイター推奨プログラム問題のwiki - 現行のニコニ・コモンズサービス

A.イラストSNS「pixiv」が標的に:初音ミクのケース

営利利用可能。pixivから転載された「遅寝ミク」の画像を「ご自由にお使い下さい」とコメントを付けて登録している。もちろん本来の権利者に無断で営利利用の許可など出せない。

このユーザは他にもpixivから無断転載を行なっており、権利者の申請により削除された画像もある。しかし未だ運営はこのユーザのIDを削除していない。

B.同人シューティングゲーム「東方project」が標的に

営利利用可。東方projectのゲーム内画像が二次使用されている。東方projectの権利者であるZUN氏はファンによる二次創作を広く認めているが、ゲーム内のデータをそのまま二次使用することは禁止している。他にも東方projectの二次創作イラストが営利利用可として無断転載されている。

C.より悪質なケース

こちらは何者かの口元を描いた絵の画像。営利利用可として登録されている。

目の画像。こちらも営利利用可。先ほどとは別IDから登録されている。

これ以外にもいくつかパーツが。全て合わせると…

「エヴァンゲリオン」のアスカだった。このように、ピースを一つ一つ引用していくだけで丸々一つの絵を引用出来てしまう。権利者であるガイナックスが気付かずに放置し、転載者が不当な利益を受け取る可能性の高まるさらに悪質なケースである。

3.クリエイティブ・コモンズとの比較

A.最低限のルールがない

クリエイティブ・コモンズにおいては、子作品が親作品のライセンスより条件の緩いライセンスを付けることはできない。これは権利者が個別に許諾しなくとも柔軟に著作物の二次利用を認められるクリエイティブ・コモンズという制度の中で、野放図な二次利用を防ぐために必要な最低限のルールである。

二次的著作物を原著作物と同一または等価であるライセンスに従うことを要求する

しかし、ニコニ・コモンズでは子作品が親作品より緩いライセンスを定められる

例を見てみよう。下の画像はニコニ・コモンズで最初に登録された素材である。

利用可能範囲はニコニ・コモンズ対応サイトに限定され、営利利用には許可が必要だ。

では子作品のこちらはどうか。

利用可能範囲はインターネット全般に拡大され、営利利用は個別の許諾がなくとも可能だ。

このように、ニコニ・コモンズは合法的に素材の柔軟な二次使用を認める制度としては実質機能していないのである。

・規約上のニコニ・コモンズとウェブサイトとしてのニコニ・コモンズの違い(2012/01/27追記)

ニコニ・コモンズ利用規約 18条 (公表可能な媒体について)によると、「子作品は親作品の利用条件に従って利用できる」と解釈できる箇所がある。

作品利用者は、登録作品または派生作品を、登録作品に設定される利用条件において許諾された媒体において公表することを目的として利用することができます。

よって上で「子作品が親作品より緩いライセンスを定められる」というのはウェブサイトとしてのニコニ・コモンズのシステム上の話であり、規約上は子作品はライセンスを親作品より緩くすることはできないと解釈できる

また、2012/01/19に「親作品の利用条件を参照すること」との文言が追記された。しかし親作品の設定は未だ子作品の登録者の手に委ねられており、「参照」が何を意味するのかも不明瞭であることからこの対策も十分であるとは言えない。

以上から、より厳密に言えば、「ライセンスとしてのニコニ・コモンズは規約を考えると、少なくとも親作品が子作品に継承させることができる仕組み。しかし作品登録サイトとしてのニコニ・コモンズの運営といえる。は規約と法律を守らせる仕組みを利用者の善意のみに頼っているという点で破綻している」と言える。

B.ドワンゴは制度を提供しているだけなのか

ドワンゴ顧問の夏野剛氏は、「コンセプトは公式な黙認」と紹介する。本来、著作権法的には、その素材の著作権を持つ人に許可を取ってから素材として使うのが筋だが、ニコニ・コモンズならそうしたやり取りなしに、登録申請のみで済ませられる。

ASCII.jp:ニコ動の「ニコニ・コモンズ」とは何か?

そして有志の方による問い合わせへのドワンゴの回答

本プログラムによって運営会社が創作物の権利管理やその他の法律業務を行うものではありません。

登録申請したものには利用規約に宣誓させるのみで権利者であるかどうかの確認をせず、その後報酬の受け取りなどでトラブルがあってもドワンゴは法的な対応を行わないとしている。クリエイティブ・コモンズも一見似た方針を採用しているため、それ自体は著作権の柔軟な許諾制度を提供するという流れに沿っているように見える。

クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが誰にどのように使われているかを調査・管理しているわけではなく、個別の作品に付されたライセンスが正当な権利者によって正しい方法で付されたものかどうかを確認・検証することもありません。

しかし、ニコニ・コモンズに作品を登録したものには、クリエイター奨励プログラムに参加することによりその創作への貢献度に応じた報酬をドワンゴから受け取れる。ドワンゴが用意したウェブサイトにドワンゴが用意した制度に基づいて著作物を登録し、ドワンゴから金銭を受け取る。

  ドワンゴの他のサービスを介したこの一連の繋がりを考えると、「著作者が二次利用に許諾を与えるためのライセンスの仕組みやツールを提供しているにとどまる」としているクリエイティブ・コモンズという制度と、ニコニ・コモンズという制度は明らかに性質が異なる。

金銭の供与を伴うこのシステムでは、ドワンゴはニコニ・コモンズというウェブサイトのユーザと権利者間のトラブルを奨励していると言われかねない。

1)無断転載者が本来権利者が受け取るべき利益を不当に得る、という形で創作者の権利が単純な無断転載より更に深刻に侵害される可能性が高い

2)ニコニ・コモンズとクリエイター奨励プログラムという仕組みが、ニコニ・コモンズユーザと権利者の間で金銭トラブルを引き起こす可能性が高い

以上からドワンゴには登録作品を申請段階から本人確認を行うなどして厳しく管理することが求められる

・結論:ドワンゴは性善説に頼らず、素材の登録段階から厳格に管理するべき

そして忘れてはいけないのは、これ程問題点が指摘されているにも拘わらず、すでにプログラム参加者への報酬の分配が始まっているということである。これは何度強調してもしすぎることはない。ドワンゴが責任を持って創作者の権利を守ることを望む。

コンピュータソフトウェア著作権協会,ACCS
ワークスコーポレーション
発売日:2010-04-21
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    今に始まった話じゃないけど昔っから無償・有償関係なくコピー品で溢れてたよね。 “ニコニ・コモンズに無断転載した者がクリエイター奨励プログラムに参加していれば、直接ドワンゴから金銭を受け取れてしまう/...
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    実は、この制度には大きな危険が潜んでおり、それはすでに実態を現しつつある。 1.背景知識 A.クリエイター奨励プログラム・ニコニ・コモンズとは? 2つとも創作を支援するためのシステムである。...
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